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―昭和11年の創建当時の外観を再生させる―



昭和11年に創建したこの建物は、昭和20年の岐阜市大空襲を間逃れ、昭和34年の伊勢湾台風で傾きながらも、その後、高度成長期、現在へと幾度と無く改修を重ねながらも、大正11年生まれのクライアントと共に生きてきました。

 そこで、この建物が持つ本来の魅力を引き出す耐震改修のあり方がテーマとなりました。

 一般的に耐震改修は、既存の構造体のフレーム内で行われます。また、意匠的にも古い建物を隠すように改修が行われます。改修前も、傾いた柱は外から鉄骨袖壁で支えられ、シャッターBOXで覆われていました(①)。
 それを剥がすと中から建物を特徴づける古い柱や特徴的な二尺の差し鴨居が現れました(②)。
 「よろびおこし」をして、新たにベタ基礎を打つ。この建物がもっていた本来の魅力である1階の柱と木製建具だけからなる細脚のファサードをそのまま維持するには、細脚の柱は添え柱をすることなく単体で立つ必要を感じました。
 そこで、外壁ラインから半間(940mm)の内側のラインに耐震壁をとる。つまり、古い家の中に強固な新しい家をつくりました(③)。

<表皮と芯>

それは、果物のように、表皮と硬い芯からなる建物です。

第4回木質建築空間デザインコンテスト テーマ部門賞受賞